私は以前、経営企画や会計を主に専門としており、アメリカで仕事をしていましたが、渡米当初は 日米の差に非常に驚かされました。
大手通信会社からの請求が間違っていたことがあったのですが、 問い合わせして調査してもらうまでに数箇所電話を転送され、 数日後の調査の結果の連絡では、やはり先方の請求ミス。
翌月の請求と相殺して欲しいと依頼しても難しいなどと言われ、 一番簡単な方法が、Refund Centerと呼ばれる払戻し専門の 部門に自社のレターヘッドにサインした返金依頼のレターをFAXすることで、差額分の小切手郵送を依頼することだとのことでした・・・。
日本では、あり得ない効率の悪さに驚くと共に、当たり前だと 思っていた日本のサービスの良さに気付くことができました。
ところで、今回は採用の話。
結論から言うと、日本では人を採る、アメリカではスキルを採る。
アメリカでは、企業側は採用の際、Job Descriptionと言われる職務記述書を作成し、募集対象のポジションにおけるタイトル及び仕事内容を明確に定義します。
これに基づき、その分野での学歴や職歴を重視した採用活動(就職活動)が行われる。
という考え方が一般的であるため、当然、個人は自分の専門分野を持つことになり、ジョブローテーションなどは稀です。
上司と言えども職務記述書に書かれてない仕事を依頼した場合、断られたり、 昇給を要求されるというのも少なくないようです。
大企業になればなるほど、仕事は細分化され、情報の共有も難しくなってしまったりしているのが現実ようです。
日本では、組織に適した人材や人柄を重視する傾向が見られることがありますが、アメリカでは、職務に適した人材を採用するという目的で 採用活動が行われ、採用時における機会均等などについては、異常ではないかと思うほど徹底しています。
人材募集の要項では、男女の記載はもちろん、ハンディキャップや人種、年齢なども対象を限定してはいけない。
「元気のいい方」という表現すら、若者を対象としているとした年齢差別だと受け取られるというから呆れるほどです。
話がそれてしまいましたが、組織の中での人材の運用については、日本式、 アメリカ式、それぞれメリット、デメリットはたくさんあるはずです。
主観的な意見になること覚悟でいくつか例をあげてみると。
日本式のメリット: ジョブローテーションなどにより幅広い人材育成が可能 となると同時に、取引先との癒着の防止などの企業側の問題を未然に防ぐ ことに繋がる場合がある。
アメリカ式のメリット: 業務を固定し、明確にすることにより、採用基準も明確になる。 また、専門家を擁すことになるので、個々の処理能力(効率)は高くなる。(はず)
日本式のデメリット: ジョブローテーションの周期や業務に個人差が出ることによる弊害。 学歴と職歴及び経験業務の一貫性が無い。(専門家が育つに至らない場合が多い。)
アメリカ式のデメリット: 仕事が細分化されすぎて、外からの問い合わせなどに窓口一つで対応できない。 部門をまたがる業務に時間がかかる。
など、まだまだ要素はそれぞれたくさんあることだろう。
しかし、企業は、どちらの良し悪しではなく、社内問題の解決、顧客満足などバランスをとりながら、利潤の追求を目的として活動しなければならない。
個人や組織の技能を考慮し、上手く使い分けて最大の効果を上げなければならないのです。
経営に課題は付き物。 まずは組織を見つめ直して、問題解決を計ることが重要なのかもしれない。
アメリカにも日本にも見習うべき優秀な企業は山ほどある。(はず)