「作ってやる」ではなく「作らしてもらっている」By 豐田喜一郎

今日は、トヨタ自動車の豐田喜一郎氏の名言です。

「作ってやる、売ってやるではいけない。

買ってもらう、作らしてもらっている、という気持ちでなくてはいけない。」

モノ作りというのは、顧客のニーズがあって

初めてビジネスとして成り立つものですが、

常に顧客やユーザーの立場に立って考えるのは難しいものです。

最初は、「これがあれば便利」とか、「これは役に立つ」というアイデアから

新商品や新サービスが生まれるものですが、

やがて技術革新に伴って陳腐化したり、

さらに新しいサービスが出てくるようになって利用者がいなくなったり・・・

様々な理由で、商品のライフサイクルは終了してしまいます。

ただ、商品が成熟期を迎えても、

新しい技術を取り入れたり、常に顧客のニーズを敏感に察知し

サービスを改良していくことで、ライフサイクルを長くすることができます。

会社としては、出来る限り長く同じ商品を売り続けたいものですが、

そう簡単にはいきませんので、改善を繰り返しますが、

この改善する時に、中心をどこに置くかで、

その後、成長するか衰退するか決まると言っても過言ではありません。

商品に自信があればあるほど、それにしがみつき、怠慢となって、

時代の流れに取り残されて衰退する・・・

一方、顧客の立場に立って常に改善を続けると、

ずっと同じに見えるもの(またはサービス)でも飽きられず、

利用者が減らないことに繋がります。

飲食店のチェーンなどは、定番メニューでも常に研究を重ねて

一見分からない程度の改善を繰り返しているといいます。

極端な例ですが、技術や商品にしがみつくことで、

画素数や微細加工を突き詰めたり、

画面を限りなく大きくしたり・・・

顧客の求めていない方向に向かってしまうことも・・・

その結果、顧客のニーズを超えた技術者の世界になってしまっては

良いモノであっても売れないということになりかねません。

そういう意味でも、「作ってやる」のではなく、

「買ってもらう」モノを「作らせてもらう」と考えるのは重要かもしれませんね。

最初の発想は「作ってやる」でもいいかもしれませんが・・・

今回の名言は、コダックと富士フィルムの差がが良い例かもしれません。

20年ほど前にコダックのマネージャークラスの方と話した時、

「技術に自信があり、フィルムビジネスは寡占状態なので儲かる」と公言していましたが・・・

大企業でも技術だけでは生き残れない時代になってしまったということですね。

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